、最近では評定格差が問題視されるようになった。埼玉においても高校入試では、公立はもちろん私立の中にも、この評定を基にした「調査書(内申書)」を判定基準に使用しているところが多く、この不公平感は高校側にとっても受験生側にとってもかなり気になるところとなっている。

 

 私の手元に、「平成20年度東京都立高校学校等入学者選抜にかかわる都立公立中学校第3学年第2学期の評定状況の調査(本調査)の結果について」という資料がある。簡単に言えば「都内公立中が中3・2学期の評定をどのようにつけたかの一覧」のことである。埼玉の公立中学に関するデータを、残念ながら私は見たことがないので、ここでは東京都のデータを実例として紹介していくことにする。

先ほど紹介した、我々の時代の「相対評価」での成績分布との違いに注目してほしい。

 

 都内P区のA中学では、理科の評定のつけ方が

5・・・46.5% 4・・・30.2% 3・・・22.1% 2・・・1.2% 1・・・0

となっている。この中学では評定が実質的な3段階評価となっていて、この通知表で「3」だったからといって「理科の成績が普通である」と理解するには無理があることがおわかりいただけると思う。

その一方で、同じP区B中学の理科の評定は

5・・・5.6% 4・・・31.5% 3・・・50.0% 2・・・13.0% 1・・・0

となっている。同じ区内でありながらA中学と比べて明らかに「5」がつきにくい状況がおわかりいただけると思う。これが評定の学校間格差と呼ばれるものの実態である。

このデータを細かく見ていくとキリがないが、逆に「2」や「1」のつき方に注目すると、

Q区C中学では数学の評定が

2・・・5.6% 1・・・0% 

となっている一方で、同じQ区のD中学では数学の評定に 

2・・・28.1% 1・・・7.0% 

と、全体の3分の1以上の生徒に「2」もしくは「1」がついていることも無視できない。

 

 ここで公開されている「中3・2学期の評定」は、一般的に高校入試では大きな意味を持つ。私立高校の推薦入試では「中3・2学期の5段階評定が合計20以上」といった受験資格が明記されているところも少なくない。また私立高校の中には一般入試の出願資格の中に「評定に2もしくは1がないこと」を明記しているところもあり、「5」や「4」だけでなく「2もしくは1」のつけ方の違いも、場合によっては受験校選びに大きな影響を及ぼす場合も考えられるのだ。埼玉県の入試システムの紹介はまたの機会にするが、公立高校入試においても推薦入試・一般入試を問わずこの調査書が占めるウェイトは、現状ではけっして低くはないので、評定の格差を知れば知るほど保護者の方々が自分の子供の成績に敏感になるのは無理のないことだ。(次回へ続く)

(秋田 洋和)